第42話:子守

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  「最近多いな……」 俺は重い腰を上げ、足音のする方へ歩いていった。床の振動する感覚、足音の近さからいって、この階のこの部屋としか思えない。友人(私のことらしいです)も不思議な体験を何度もしていると言うし、話のネタにもなるだろうと、軽い考えだった。 足音は何故か俺が歩いていくのを待っていたかのように、Dのいる寝室へ向かった。俺も続いて入ると、ベビーベッドを覗き込むように、小学校低学年くらいの少年が立っていた。 「君は……?」 『どこから来たんだ?』という前に、少年の困り果てたような表情に気付き、指さす方を見た。少年が見てほしいのは我が息子、Dだ。 「…………?」 少年が何者か気になったが、とりあえずはDを見てみると、様子がおかしい。うまくはいえないが、何となく。 「D?」 額にそっと触れてみると、熱い。かなりの熱だ。 「しっかりしろ!D!今病院に連れてってやるからな!」 俺はDが死んでしまうのではないかと思い、Dを抱えて外に出た。
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