第43話:筆箱の中には

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  「…………」 今のはなかったことにしよう。そう思い、蓋をした。 だって、有り得ないじゃないか。筆箱の中に入れた覚えのないものが入ってたんだから。しかも、ご丁寧に動いていた。 「今のって……?」 もう一度開けてみる。今現在の俺にはない度胸がこの時の俺には備わっていたんだ。 「う……」 ずっと暗い所にいたからだろうか。光が眩しいのか、ソイツは目を細めてみせた。 「うわあああ!」 気のせいだと思ったが、どうやら違うらしい。奴は俺と目が合うと、明らかに威嚇してきた。 「何……!?何で……!?」 俺は目を離せないまま、ソレから一刻も早く離れたくて、手探りで退いた。腰が抜けてたのは言うまでもなく。 筋肉質な身体から、草原を颯爽と走る姿が浮かぶ。たてがみは風になびき、心地よい風を感じるんだろう……。
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