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「嘘だろ……?」
車から降りて建物を呆然と眺めていると、Cのはつらつとした声が建物を揺らした。
「おーLeo!こっちだこっち!よく来たなぁ!まぁ上がって上がって!」
キラキラと輝く笑顔のCとは対称的に、引き攣った笑みの私。
外側に延びた階段は上る度にギシギシと鳴り、赤錆の浮いた手摺りは心許ない。
「こっ……恐ぇぇぇー!」
完全に腰が引けてしまっている。部屋に到着した時は息も絶え絶えで、畳に寝転んでも生きた心地がしない。全く安らがない。今すぐ帰りたい!
「だっらしねぇなぁ」
Cは中古の冷蔵庫の上に電子レンジを乗せると、私の横に勢いよく座った。お陰でアパートがぐらぐら揺れる。
「頼む……まじで揺らさないで……」
半泣きの私を豪快に笑い飛ばし、Cは私の持ってきたビールを美味しそうに飲んだ。気分を紛らわそうと私も続く。
それからしばらくしてかなり酔っ払った私たちは、いつの間にか眠っていた。
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