323人が本棚に入れています
本棚に追加
/105ページ
お父さんに電話するのに一時間も迷っていた。
きっと怒鳴られるだろうな…
でも自分で蒔いた種だ。
覚悟を決めて実家に電話するとお父さんが出た。
「千恵だけど…」
「こんな早い時間にどうした」
夕べは緊張してほとんど寝ていない
「実はね…付き合ってた男の人がいるんだけど…脅されてるの」
「どういう事だ?」
「付き合ってしばらくしてから仕事やめちゃって…
お金ないから私にたかるの。
嫌気がさして別れたいって言ったら実家に嫌がらせするって言われて…
お金を渡さないなら風俗で働いてるって親に言うって言われたの」
「千恵…男は働いて家族を養うのが役目なんだ。
働かない男なんて男じゃない!
そんな嫌がらせに動じるほどお父さんやお母さんは弱くないぞ」
思いがけないお父さんの言葉に涙が溢れてきた
「そんな男から嫌がらせの電話がきても一切取り次がない。
お前は何も心配するな」
ずっと苦手だった父親の優しい言葉に胸が熱くなった
最初のコメントを投稿しよう!