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「何だよ……これ……」
村の有り様は酷かった。
村に一歩踏み入れると同時に漂う、吐き気がするような悪臭。
目を瞑らない限り視界に入ってしまう、数多くの死体。
「酷い……何でこんなことに……」
初めて目の当たりにする光景に、クラッドは涙と吐き気をこらえながら家に向かった。
*
家に着いたクラッドは、家の前に倒れている父親を見つけた。
「ク、クラッド……」
「父さんっ!」
クラッドは慌てて父親に駆け寄る。
「ぐっ……」
父親の傷は、腹を剣のような鋭利な物で貫かれ、こうしてる間にも血だまりが広がっていく。
「父さん!どうしてこんな傷が……母さんは!?」
「魔物が……村に攻めて、きたんだ……。か、母さんだけは……守ろうとし、たんだが……」
「父さん、ちょっと待ってて……」
悪い予感がしたクラッドは家に入り見てしまった。
身体中を引っ掻かれ、喰いちぎられ、無惨にも首から上がない、この世を去った母の姿を……。
「そ、そんな……」
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