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「さて、今度こそ」
俺はドラゴン達の死体にむかって手をかざす。
「どうか安らかに……【エンジェルブレス】」
【エンジェルブレス】
死者を天に送る時に使う上級魔法だ。
普通は死んだ人を弔う時に使うが、俺は魔物にも使っている。
魔物といえど、命があったんだから……。
そしてドラゴン達の体がオレンジ色の炎に包まれた。
その身体は粒子となり、炎と交じって、火の粉として天に舞い上がる。
俺は決して目を背けない。
奪った命を正面から受け止める為に。
しばらくして炎が消えると、そこにドラゴンの姿はない。
まるで、最初から何も無かったかのように、全てが消えていた。
「次に生まれ変わる時は幸せになってくれ……」
俺は最後にそう呟き、ギルドに帰った。
俺の想いがあのドラゴン達に届いていると信じて。
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