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「ねぇ怜奈!私彼氏とキスしちゃったぁV」
「へー……。」
「怜奈も彼氏の切原君とそれなりにしてるんじゃないの?」
「………してない。」
怜奈は少し不機嫌そうにそう答えた。
喋っていた怜奈の友達、阪奈が目を丸くして怜奈を見つめる。
「嘘、あの切原君が?!」
「ほんと。」
「せんぱーい♪帰りましょー!」
驚いて阪奈が立ち上がった時、いいタイミングで赤也が怜奈に飛び付いてきた。
「こんなに積極的なのに?」
「…ほんと、愛されてるのかどうかわからなくなるよ。」
「?先輩?」
怜奈はそれだけ言うと、赤也の腕を振り払って立ち上がり、阪奈に「バイバイ」と別れを告げた。
「せんぱーい…?どうしたんスか?」
「別に。」
明らかに不機嫌そうな声色。
赤也は冷たい態度の怜奈を見て少しムッとした表情になる。
「さっきから何なんスか?何か不満があるなら言って下さいよ!」
「…私、赤也に愛されてるのかわかんない。」
「……は?」
怜奈の言葉に、わけがわからない、という表情をする。
怜奈はそんな赤也を見ると家の門に手をかけ、大きく溜息をついた。
「わかんないなら、いいよ。」
怜奈はそれだけ言って赤也を一瞥すると、家の中に入っていった。
「…なんなんだよ、…ちくしょう……!」
赤也は、怜奈の家に入る前の後ろ姿を思い出して、そう呟いた。
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