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「…あと少しじゃったんじゃがのぅ……。」
「どういうつもりっすか…。」
「…別に、怜奈を慰めてやろうと思っただけじゃよ…?」
悪びれもなく淡々と話す仁王を見て、怜奈は余計な事をいってしまわないかハラハラしながら見つめる。
「だって怜奈が…」
「仁王く…っきゃ!」
怜奈が仁王の名を呼んだ瞬間、赤也は苛立ちをあらわにして怜奈の腕を引っ張った。
怜奈は赤也の腕の中に収まり、赤也に痛いくらい抱きしめられる。
「怜奈先輩は俺のッス。誰にも渡さねぇ。」
赤也はそれだけ言うと、怜奈を引っ張りながら教室をでていった。
「いた…!」
屋上につくなり、怜奈は壁に押し付けられて小さく悲鳴をあげた。
赤也の目は怒っているせいか赤く充血していて。
それが怜奈の恐怖を増幅させた。
「…昨日の言葉の意味はああいうことッスか?」
「ちがっ…--んっ!」
言葉の途中で口を塞がれ、怜奈は大きく目を見開く。
赤也は、怜奈の口内を堪能してから唇を離した。
「違わないッスよね?仁王先輩にキスされそうになっても抵抗してなかったッスもん。」
「違う………!私は……」
怜奈のその言葉に、赤也は「なら何なんスか?」と言って怜奈の顎を持ち上げる。
怜奈は、泣きそうになりながらも必死で口を開いた。
「…私は………、赤也が全然私を求めてくれないから不安になってああ言っただけで…」
「……怜奈先輩、」
「だから、赤也のこと嫌いになったわけじゃ…」
「怜奈先輩、もういいッス。」
そう言われて、顔をあげれば、赤也の目の充血は治っていて。
優しい笑みを浮かべていた。
先輩が大事過ぎて手が出せなかったんスよ。
甘い甘いキスの後に赤也は私にそう囁いた。
(好きッスよ)(…うん)(だから、もう我慢しねぇっす)(……うん……えっ?!)(っつーことで)(ちょ、やめ…!)
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