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ツンデレ *財前光*
「光ー……」
「なんスか。」
「寒い」
そう言えば光は厚着すればええやないですか、なんて言った。
確かにそうだけどさ、もう少し…優しくしてくれてもいいと思う。
これでも一応付き合ってるんだし…
「そうじゃなくて、もっとこう…」
「じゃあどうしてほしいんスか?」
いかにもめんどくさい、という顔の光。
そんな顔されるとなんだか悲しくなってくる。
私って本当に光の彼女でいいのかな…?
「……やっぱり、いい。」
そう言えば、光は「途中で言うんやめるなら最初から言わんといて下さいよ」って冷たい口調で言ってきた。
そんな冷たいこと、普通彼女には言わないよね。
…やっぱり、私は彼女じゃないんだ。
私が彼女って思い込んでただけで、光は私のことこれっぽっちも好きじゃないんだ。
そう思い始めると涙が出てきそうになって。
音楽を聴きながら雑誌を読んでいる光に背を向けて部屋を出ていこうとした。
だけど。
後ろから伸びてきた腕によってそれを阻まれた。
「誰が勝手に帰っていい言うた?」
「だっ……て……私光の彼女じゃないもん…。光は私のこと好きじゃないでしょ?」
「アホ、好きやなかったら一緒におらんわ。家にも上げんし。」
ちゃんと好きやから、安心しぃ。
そう言って優しく口付けてくる光の態度を見て、機嫌を直してしまう私はやっぱり光に弱いなぁ、なんて思った。
End
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