とある国の王子様

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その時です。 会場がざわざわっとどよめきました。 そのどよめきの中心は、砂漠の国の王でした。 彼は指先を洗うためのフィンガーボウルを抱えて 中の水を飲もうとしたのです。 砂漠の国では水は貴重です。 でもここは、砂漠の国ではありません。 フィンガーボールの水を飲もうとするなんて。 周りにいた王や王妃は眉をしかめ、 一国の王であるその人の常識のなさに 呆れた声で囁き合います。 所々では忍び笑いさえ聞こえてきます。 王子はその様子を見て、 フィンガーボウルを高々と持ち上げて言いました。 フィンガーボウルを高々と持ち上げて にっこり笑ってこう言いました。  
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