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「何時も流暢なクセにどうした?」
「神官長は、その使える神と対等な存在でいなければならないと俺は思っている。」
突然、奴は喋り流暢に始めた。
「神を補助するのも、勿論だが、神が行き過ぎた行為を行った場合や………暴走した場合、それを止められる立場でなければならない。」
「ふーん。じゃあ俺、ピッタリだな。俺、お前なら容赦無く、殴り飛ばす自信ある。」
「殴り飛ばす………。それだけなら良いけどな……。お前、俺を殺せるか?」
射ぬかれる様な視線を寄越され、俺は背筋に冷たい物が落ちるのを感じた。
………殺すだって……?何の冗談だ。
「過去に例が無い訳ではない。力が強いとそれだけで、暴走する可能性が高くなる。大抵は感情の問題だが、それを止める身にしてみたら命懸けの問題だ。まして相手は神。神殺しが出来るのは三帝とその跡目の火月、そして特例として神官長は使える神を暴走した場合のみに行える、異例中の異例の特権だ。これは、神官長が任命された場合に、神から伝えられる。………そうで無くては、神を殺したくて神官長になる奴が出てくるからな。」
「…………俺に教えて良いのかよ。」
「神と神官長は対等でなければならないと言ったろ?それに、お前には俺を殺す権利がある。」
「はああ?殺せるかと聞かれたり、殺す権利があるとか言ったり。お前さー、ひょっとして、まだ村の事気にしてる?」
「………多分な。」
「……成る程。ところで、お前と付き合い、短いけど随分濃厚な時間を過ごしているよな?」
俺はニッコリと満面の笑みを浮かべた。
「いい加減にしやがれっっっ!!!てめえっ、俺様がいつまでもウジウジと女々しい事考えているような奴に見えるかっっっ!!!俺が殺したい時は、何時でも何処でも殺してやるから覚悟しておけっっ!いいか、俺様が神官長に任命されたら、有給休暇は勿論、健康保険・雇用保険・厚生年金は最低保障して貰うからなっっ!因みに、基本給は危険手当ては別で、残業手当ても勿論要求するから覚悟しておけっっ!!おらっ!味噌汁っっ!!」
俺は鍋ごと、テーブルの上に、ドンッ!と置いてやった。
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