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「それなら家にある。」
「え?マジで?」
俺は今月の購入書籍のリストを見るのを止めた。
「ああ。最近も見かけたから間違い無い。」
ソファーに腰を掛け、読みかけの本から目を離さずに奴は答えた。
「…………貸してやろうか?」
「へ?良いのかっ?!」
このチャンスを逃したら、絶対に見る事はできない!以前、この男は世界中の史書を所有していると聞いていて、雑談ついでに聞いてみた。それが、ビンゴ!普通なら、国宝物だ。
「じゃあ、取りに来い。」
奴はさっさと立ち上がり、ドアへと向かった。
「今からか?」
「……来るのか?来ないのか?」
俺は考える。確かに見たい。が。行っても大丈夫なのか俺。
俺が躊躇うには理由がある、奴は出会って間もない頃、身体を舐め回された。しかも理由が『甘い匂いがした。』らしい。危なく貞操の危機だった。
「待って。…………絶対に何もするなよ?」
奴は横目で俺を見ると、何も言わないで、ドアから出て行った。
「!!ちょっとまちやがれっっ!」
俺も慌て、コートを羽織り、奴の背中を追って行った。
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