竹春 桔梗と言う存在

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   「家って………ここ?」     秋口だと言うのに、温暖化の影響か、薄手とは言えコートは少し早かったのか、薄らと汗を掻いていた。が。奴の家と言う場所に来てみると、一層汗を掻いた。     「俺には超高級マンションにしか見えませんが?」     しかもだ。エントランスから入口まで、どんだけ歩けばいいんだ?と言うぐらい歩かされて、俺はそびえ立つ高層マンションを見上げた。俗に言う、セレブなな方々が住んでそうな億ションとかみたいな………。     「これの何階?」     「一番上のワンフロアー全部。」     はい?     「ここ自体が俺の持ち物で、管理は涼に任せているからな。俺以外、誰が居るかは分からん。」     奴が、入口のドアの横にある、パネルに顔と片手を翳して、暗証番号を入力すると、自動ドアが静かに開いた。      「ちょっと来い。」    ぽかんとしていると、俺は手を引かれると、パネルの前に立たされた。     「動くなよ。」     手のひらをパネルに置かれて、写真を撮られる。     「これでお前も登録しておいた。後で暗証番号も教えるから、好きな時に来い。」     「断る。」     俺は数秒も置かずに、返事をすると、奴は微笑した。     「断っても来るさ。お前なら。」     「?」     奴の意味深な発言は、この後現実となる。   
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