竹春 桔梗と言う存在

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   「お前、人嫌いなのか?」     そうじゃなければ、こんなになーんも無い家で、たった1人居られるものか。     「嫌いでは無い。面倒なだけだ。」     無表情。が、俺は何と無くコイツの考えが解る。狸の話しだと、コイツは違う世界で、物凄い偉い神様らしい。その権力に惹かれた輩がウジャウジャと、群れをなしてコイツに近づき、色々とあったと言う事も聞いた。そりゃあ屈折もしたくなるだろう。でも、面倒くさいみたいだが、嫌いでは無いらしい。嫌いなら、狸とか秘書のにーちゃんとか、その他諸々の相手とも付き合えない筈だ。ましてや、こともあろうに(信じられないが)俺と交尾をしたがる筈が無い(これを言うと何故か狸や薬嗣が怒る)     「面倒くさいか。じゃあ、何で俺をお前の神官長にしようとした?」     「しようとしたじゃない。したんだ。お前を俺の神官長に。」     ふてぶてしい笑みを見せる。  ………凄い自信だねえ……。  俺はちょっと悪戯をしてみたくなった。     「そう言えばさ。流れで神官長とやらになるとか言ったが、キャンセルしても良いか?」     「………………何だと?」     え?今の誰の声?小さな声だったが、俺は冷や汗を流した。  ………こ、怖ええっっ……!     「なあ。八朔。」     こっちに来るなっっ!なんだよっっ!その笑顔だけど、人殺しそうな表情はっっ!!  俺の意に反して、固まる俺の横に立ち、身体を引き寄せられる。恐ろしさの余り、目を閉じた。     「このまま俺の神殿に縛り付けて、飼い殺してやろうか?それともこのまま、剥製にでもして俺の側に飾っておこうか?」    「……本気……かよ………?」     俺は何とか声を振り絞り出して、確かめる。  すると奴は薄らと、狂暴な笑い声を上げ、言った    「お前次第だ。」     ………まずい……!ここは一つ、狸に教わった対処方法をっ!!     「そ、そんな事したら………一生、おやつ抜きだからなっっっ!!」     ……あ。何か空気が和んだ。俺は目を開けて奴を見ると、腹を押えて肩を振るわせている。
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