竹春 桔梗と言う存在

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   腹でも痛いのか?と思っていたが、コイツに限ってそれは無い。ある筈が無い。  ………ひょっとして笑ってる?     「…………いや……。済まん。お前が余りにも可愛い事を言うから。」     「………可愛いって言うなっ。結構気にしてるんだぞ?」     そうなのだ。自分で言うのもなんだが、俺はどちらかと言うと女顔らしい。顔の造形はあまり気にしないタチだが、流石に何十年も言われ続けると面白くないものだ。男が可愛いって、どういう事だ。     「気にする?何故?俺は可愛いと思ったから可愛いと言っただけだ。………ああ。可愛いもあるが、お前は綺麗だな。」    「ひょっとして口説かれちゃってるの?俺。」     冗談じゃない。俺はその気は全く無いぞ。     「?単に綺麗だと思ったから言っただけだ。お前がこの家に来てから、殺風景な景色も色鮮やかに染まっている。………染める必要も無いと思ったが………綺麗なものだ。」     何処か遠くを見ている瞳は、寂しげで……。     「俺はお前と居ると真っ暗になるよ。………これから、毎日この量の食事を作ると思うとさ。」     俺が溜め息混じりに言うと奴はこっちをジー……っと、眺めている。   
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