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………何時も思うが、コイツの顔は反則だと思う。薬嗣の秘書のにーちゃんと言い、弟君と言い……。そう言えば、道摩も煉とか言う愉快な奴も、神様とか言う奴なんだよなー。極め付きは、あの狸だ。二等身だと思ったらあれは反則どころか、卑怯だろ。あの顔と結婚した月人とか言う人物は大物だと思う。
「お前さ。自分の顔、結構卑怯なの自覚ある?」
俺が言った言葉が理解出来ていないのか、何時もなら直ぐに答えが返ってくるのに、口をつぐんでいる。
「………まあ。良いか。」
俺は味噌汁が気になり、鍋に手を掛けた。そのタイミングで、奴は喋り始めた。
「………一緒に居ても良いのか?」
「ああ?居るだろ。今。」
「ずっと一緒に居ても良いのか?」
「えっ?俺、お前の家に住まないと駄目?通いで何とか出来ないか?今の家、爺様と婆様が残してくれた物だしさ。」
今、俺が路頭に迷わず居られるのは、爺様達が残してくれた遺産のお陰だ。爺様、俺の知らないところで、不動産やら資産運用とやらをしていて、処分した後、税金払っても十分暮らしていけた。ただ、大学入学と共に住み続けた古い一軒家は、大学に通っていた頃や、こっちに用事がある時に、爺様達が使っていたので、あの村以外に残る思い出の家を手放す事は出来なかった。
「……………もし、俺が………。」
「ん?」
なんか歯切れが悪いな。
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