308人が本棚に入れています
本棚に追加
俺が体ごと店の中を向くのと、奴がコートの下から黒い何かを取り出すのが同時だった。
玄関のガラスが割れ、頬に痛みが走る。
ポーカーのカードが中を舞う。
足も手の先も痛みが走る。
玄関横の塀に身を隠し、何とか銃撃を逃れる。
ポーカーをしていた3人のうち店に背中を向けていた一人は、倒れている。
乱射される弾の数発が跳ね返って当たると、操り人形のように体の一部だけが動く。
ピートともう一人は倒したテーブルを盾にしているが、高速の鉛にぼろいテーブルは勝てない。
どこに弾が当たったのか、ピートの口から吐くように血が流れる。
もう一人が応戦しようとベレッタを抜く。テーブルから顔を出したとたん、反り返って倒れた。
俺も腰の拳銃を抜く、が、顔を出せない。狙いをつけられない。どうしようもない。
奥からも人が出てきて応戦してくれてるはずだ。そりゃそうだろ?
あいつが打った弾なのか、奥の部屋から出てきたやつが撃った弾なのか、分からない弾が頬をかすめる。
ピートがまた血を吐く。
俺はどうか一発でも当たってくれと願いながら、目をつぶってピートの方へ走りながら、勢いだけで引き金を引く。
バン、バン、ババン、バン。
.
最初のコメントを投稿しよう!