26歳で死んだ男

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降り始めたばかりの雨はもう止んでいた。 血のにおいを掻き消すようなアルコールの刺激臭と、それをごまかす甘ったるい香料の香り。 立ち上がり、テーブルの陰から身を出す。 そこには濡れた店がある。 アルコール樽がいくつも転がっている。 奥の部屋の扉の前に死体の山。 その中にあいつの死体があるはずだと思いたかった。 いや、死体じゃねぇ、今動いたぜ。まだ動いてる。 みんな生きてんだ。 さっきまで天気だった空に雲がかかる。 見上げると白くてデッカいヘリだった。 体を片手で支えてカウンターを乗り越えるヒーローの姿。 縄ばしごがタイミング良く玄関を出たヒーローの前に垂れ下がる。 それをタイミング良くつかむ ヒーロー。 .
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