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降り始めたばかりの雨はもう止んでいた。
血のにおいを掻き消すようなアルコールの刺激臭と、それをごまかす甘ったるい香料の香り。
立ち上がり、テーブルの陰から身を出す。
そこには濡れた店がある。
アルコール樽がいくつも転がっている。
奥の部屋の扉の前に死体の山。
その中にあいつの死体があるはずだと思いたかった。
いや、死体じゃねぇ、今動いたぜ。まだ動いてる。
みんな生きてんだ。
さっきまで天気だった空に雲がかかる。
見上げると白くてデッカいヘリだった。
体を片手で支えてカウンターを乗り越えるヒーローの姿。
縄ばしごがタイミング良く玄関を出たヒーローの前に垂れ下がる。
それをタイミング良くつかむ
ヒーロー。
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