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もう、ほとんど分かっていた。
自分はエキストラだって。エクストラな存在だって。
その他大勢に向けた弾が当たって、奴はいちいち俺の生存確認にすら来ない。
俺だって、悪の大物みたいに死ぬ間際に時限爆弾のスイッチを押すとか、
隠し持っていた毒つきナイフを投げるとか、
実は死んだふりで、下にライフルジャケットを着ているからピンピンしてるとか、
そういう可能性だってあるのに。
正義のヒーローになれなくても、そいつと1対1で対峙するようなポジションになれたのに。
ネルソンは荒い息をしながらも覚悟を決めたように、目を閉じていた。
分かんないぜ。
次は俺たちの番かもしれない。
だってまだ生きてるんだぜ。運が向いているのかもしれない。
ヒーローの道へ。
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