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俺は26歳の時に生涯を終えた。
あっけなく銃弾に倒れた。
こんなに簡単に自分の人生が幕を閉じるとは思ってもみなかった。
しかし、俺の人生は終わった。
俺の人生の幕引きは、
妻と子供を悪のテロ組織に殺された怒れるヒーローによって行われた。
俺は組織の一員ではあったが、たいして重要なポジションではなかった。だから。
ヒーローの乱射した流れ弾によって負傷し、
ヒーローの英知によって点けられたアルコールの導火線が、意識と体を奪った。
ヒーローは俺の顔なんて覚えちゃいない。
ヒーローは俺と目線だって合わせちゃいない。
映画で言うなら、
画面の端で見切れてしまった、
一応エンドロールに名前は出るが、
俺の名前が出る頃には観客は出口に向かってる。
もしくは「~#3」とか「~#15」なんて役名だから、
どのシーンのどいつの事かなんてわかりゃしない。
-生存を確かめなくても平気な、代役の効くエキストラだ。
けれど、これは台本ではない。
繰り返す。
これは台本ではない。
これは脚本ではない。
これは、エキストラな俺の人生だ。
これはエキストラな俺たちの人生についての本だ。
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