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世の中というのは中々に厳しいものだ。
組織に入ったからには、
警察と対峙して、銃をぶっ放して、執行猶予なしで禁固100年とか、
もしくはナイフとナイフで身の毛のよだつ駆け引きとか、
カードゲームに1000ドル掛けるとか。
そんな人生が待ってるかと思いきや、俺は銃も持たせてもらえなかった。
文句を言うつもりはなかった。
寝床と食事があった。こずかいももらえた。
「こずかいやるから、外でちゃちな事すんな」
これがこずかいくれるおっさんの口癖だった。
こずかい貰えるとか貰えないとか関係なく、かつ上げとか盗みとか、
俺は出来るタイプじゃなかった。
でも他の奴らはそういうこと、しそうなやつらばかりだった。
それで、俺も外見くらいは、と思ってちょっと悪そうな目つきとか喋り方とか歩き方を真似した。
おっさんの言う「ちゃちな事」できる奴は、そのうち辞めてった。
自分で食いぶち稼いだ方が何ぼかマシだからだろう。
外見だけはすっかりそれらしくなって、
言いつけ守って、
というか単に今まで通り、
とりたてて悪いことしなかったら
昇格した。
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