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妻に口づけをし、
子供の頭をなでてやり、
だいぶ様になったワルの歩き方で町をかっぽする。
でっかいフォークがでっかいパスタを釣り上げてるでかい看板の店へ向かう。
そこが組織のアジト、その①だ。
「その幾つ」まであるのか、俺は知らない。
知らなくていいことは聞かない。それも組織の鉄則だ。
適度に天気が良く、
適度に曇っていて、
適度に雨が降りそうな、よくある天気だった。
店の外では、今日は非番の下っ端が、机を出してエスプレッソをすすりながらポーカーをやっている。
同じ下っ端同士、仲は悪くない。
少し離れた店の出入り口に立ってる俺は声を掛ける。
「おう、ピート。調子はどうだ」
「悪くねぇよ。ひめさまが来るの待ってんだ。」
それを聞いた仲間が「ポーカーで手の内をばらすやつがあるかよ」と笑う。
ピートの家は最近女房が出て行った、子供を連れて。
「お姫様」とはカードのQではなく女房のことかもしれないと俺は考えた。
正解は分からない。
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