26歳で死んだ男

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妻に口づけをし、 子供の頭をなでてやり、 だいぶ様になったワルの歩き方で町をかっぽする。 でっかいフォークがでっかいパスタを釣り上げてるでかい看板の店へ向かう。 そこが組織のアジト、その①だ。 「その幾つ」まであるのか、俺は知らない。 知らなくていいことは聞かない。それも組織の鉄則だ。 適度に天気が良く、 適度に曇っていて、 適度に雨が降りそうな、よくある天気だった。 店の外では、今日は非番の下っ端が、机を出してエスプレッソをすすりながらポーカーをやっている。 同じ下っ端同士、仲は悪くない。 少し離れた店の出入り口に立ってる俺は声を掛ける。 「おう、ピート。調子はどうだ」 「悪くねぇよ。ひめさまが来るの待ってんだ。」 それを聞いた仲間が「ポーカーで手の内をばらすやつがあるかよ」と笑う。 ピートの家は最近女房が出て行った、子供を連れて。 「お姫様」とはカードのQではなく女房のことかもしれないと俺は考えた。 正解は分からない。 .
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