プロローグ

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だから俺は悲しみを思い出さぬようにバイトに没頭してきた。 学校でも努めて明るく振る舞った。 おかげでそれなりに友達もできた。 だが、友達に囲まれていても孤独感を拭うことはできなかった。 祖父母の死から半年以上が過ぎても、常にその感覚がつきまとった。 そんな毎日に耐えきれず、幾度となく、自殺を図った。 しかし、その度に何かが俺を止めた。 それは、死の恐怖でも、この世への未練でもない、生かされているという感覚だった。 今にして思えば、俺はその時すでに、自分の宿命を予感していたのかもしれない。 そう、これから始まる宿命を。
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