282人が本棚に入れています
本棚に追加
だから俺は悲しみを思い出さぬようにバイトに没頭してきた。
学校でも努めて明るく振る舞った。
おかげでそれなりに友達もできた。
だが、友達に囲まれていても孤独感を拭うことはできなかった。
祖父母の死から半年以上が過ぎても、常にその感覚がつきまとった。
そんな毎日に耐えきれず、幾度となく、自殺を図った。
しかし、その度に何かが俺を止めた。
それは、死の恐怖でも、この世への未練でもない、生かされているという感覚だった。
今にして思えば、俺はその時すでに、自分の宿命を予感していたのかもしれない。
そう、これから始まる宿命を。
最初のコメントを投稿しよう!