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重そうな扉の前に
桜井は立っていた。
この中が選手控え室。
しんと静まり返った廊下には
桜井一人しかいない。
扉に手を伸ばし、
静かに開いた。
扉がゆっくり開くと
中からどよめきの声が聞こえた。
「うわ、桜井だ・・・
桜井良平だ・・・」
「今年も参加かよ・・
俺、死ぬかもな」
そんな声が次々と聞こえる。
うるさい奴らだ。
こんな奴らに俺が負けるわけがない。
そんなことを考えていると、一人の男がこちらに近寄ってきた。
「あの・・
桜井良平さん、ですよね?」
「?」
見たことのない顔だ。
なぜ俺に話し掛けてくる?
「僕、中澤弘司っていいます!
桜井さんの大ファンです!!」
何を言っているんだ、こいつ。
俺のファンだと?
桜井は不敵に笑った。
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