第一章

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「くちが開いてるよ」 と、 隣の席の子に起こされたと思ったらもう富士山のふもとについていた。 なるほど確かに私の口は開いてたらしく、 口から喉にかけてまでのりか何かがベットリ張りついているように乾いている。 こんな間抜けた顔で寝ていたとは、 やはりサマにもならないようなことはすべきではないというヤツで、 まったく情けないと改めて思う。 私にも少しは彼女の要素が欲しかった。 彼女と私はまるでオセロのように正反対だ。 長身細身の彼女と短身太身の私。 要領よく頭がキレる彼女と要領がこの上なく悪く不器用な私。 成績だって、スポーツだってそうだ。 そしてそれらは全て彼女が秀れ、 私は劣っている側だ。
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