第三章

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そんなある日、 彼女は私とのすれちがいざまに私をみながらぽつりと 「いいなぁ」 とつぶやいた。 思えば彼女は常にカンペキだった。 絵に書いたような才色兼備というやつで、 勉強もよくできるし体育祭ではリレーのアンカーで見事に大逆転勝利をつかみとる程の運動神経もある。 かわりに、私はなんだろう。 不器用で第一、進学もあやうい成績である。 ここといって取り柄もないし、 性格もよくないので人間関係はなかなかうまくいかない。 そんな私に彼女は 「いいなぁ」 とつぶやいたのである。
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