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一歩を踏み出す。
黒が渦をまいて踊り出そうとするが、私の足に押し潰される。
「ザマアミロ。」
私を支配するのは私。
私は今、自分がどれだけ平凡で意地汚いか、自覚した。
ならば、それでいい。
生き抜いてやろう。
足で何度も花びらを潰す。
誰が貴様らに負けるもんか。
私は、私を、ただただ、一生懸命生きるんだ。
思い出したくない嫌な行動もしてきたし、これからもするだろう。
それでも、私は学習して、精一杯生きてやる。
間違えたら直すんだ。
次に同じ事をしないんだ。
そして、前に進むんだ。
私は私と生きていくんだから。
狂い桜は、そろそろ訪れる闇に身を委ねようとしている。
そうやって、甘えるがいい。
そう、ここで私と桜はお別れだ。
狂い桜は、狂い桜。
私は、私。
私は桜に背を向けて歩き出した。
振り向く事はない。
風がふく。
巻き上がった黒い花びらの中、私は狂い桜に呟いた。
「サヨナラ。また来年。」
西空に輝く明星が、静かに消えていった。
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