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校庭の桜が咲いた。
この前の雨で、葉っぱが落ちたからだ。
いつもより暖かい十一月。
校庭の桜が咲いた。
委員会で遅くなった私は、夕焼けで赤く染まった校庭を小走りに横切っている。
その時。
白いカーディガン。
一瞬、血がついたのかと思った。
違う。
桜。
狂い桜がもう散り始めたんだ。
夕焼けは花びらも赤く染めて、桃色のそれは、赤褐色の生々しい物体となり、私の周りにまとわりつくように散っていく。
強い風。
一段と花びらが舞う。
それは、橙の空。
そして、赤褐色の嵐。
私は校庭でただ一人。
あまりに圧倒的な、その風景。
足を止め見とれる私は、心が痛みだした。
桜は、・・・嫌い。
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