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風が鞭のようにしなり、桜を叩く。
そんなにしたら、桜の花びらがまた落ちてしまう!
これ以上されたら、私、私・・・!!
赤褐色は、紫がかり出した空に、黒の魔力を帯る。
ハラハラ。
ハラハラ。
サア。
コタエナサイ。
ホントウニ。
アナタハタダシイノ?
ナンノツミモナイノ?
ハラハラ。
ハラハラ。
黒は、静かに、足に積もり出した。
よく見ると、私の靴の上、肩、スカート、黒がそっと乗っている。
私は慌てて払った。
嫌だ。
私は、何も悪い事、してない!
それでも私に付いてくる黒い花びら。
桜の反論。
風がうねる。
足元からも黒が舞い、世界がまだらになる。
なんて黒の多い世界。
私は腕を振り回し、そこでもがく。
クルシイ、クルシイ!
だからもがく。
ハラハラ。
ハラハラ。
私は・・・。
きっと・・・。
まだらの世界で、私は気付いていた。
私はきっと、真っ白な人間じゃない・・・。
花びらは、音もなく、降り積もる。
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