15人が本棚に入れています
本棚に追加
紫の空は、やがて蒼の時へ。
すべてを蒼く染め、静寂を。
それは蒼く訪れる。
私の足元に積もった黒い罪。
私の目の前には、狂い桜。
散っても散っても、まだ残る黒の花びら。
私は佇んでいた。
あの桜は、私。
穏やかに咲く春。
狂い咲く秋。
あの桜は、私。
普通の人間で。
汚い感情を抱えて。
私は狂い桜を見つめていた。
桜、なんて悲しく綺麗なんだろう。
私は再び訪れた心の痛みを自覚した。
しかしそれは、先ほどとは違う、静かにチクリとしたもの。
おそらく、蒼が私を包んでいるから。
おそらく、私が、私を受け入れたから。
私は、自分が思うよりも、無力で、汚い。
それは、狂い桜に心が乱されるぐらいに、平凡な人間。
桜に心奪われ、自分が選ばれし者のように悩んでみても、汚い罪とそれの罰ばかりが積み重なる。
ハラハラ。
ハラハラ。
あの桜は、私。
不思議な事があって狂い咲いたのではなく、強雨で葉が落ちて、たまたま暖かかったから咲いただけ。
平凡なる自然。
最初のコメントを投稿しよう!