‐時‐

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  時間のかからない炒飯を作り、テーブルで待ちわびている優美に渡した。 俺も自分の分を手に持ち、椅子に腰を下ろした。 料理を口に運ぶ優美を見つめていると、その視線に気付いたか優美は首を傾げる。 「どうしたの?」 「ん、ああ」 特には理由が無くて、狼狽えてしまった。 「捨てたこと……怒ってる?」 うつ向いて、申し訳なさそうにこちらを上目遣いで見つめてきた。 俺の中の本能が「もちろんだ!」と叫び、からかってやれ、と囁いてくる。 「全くだ。彼女いない男にとっての宝を」 恐らく彼女が居ても手放さないが。 「……ごめんなさい」 「どうしてくれるんだ」 あくまで怒っている振りをして、優美を見据える。 すると優美は顔を上げて、こちらを強く見つめてきた。 「責任取って、私が彼女になる!」 「いや、いい」 見事に即答してやった。 優美は目を丸くして、口を半開きにしたまま呆然としている。 「……ふっ、普通、そこは驚くか許可するべきだよ!? せっかくラブコメ風に言ってあげたのに、即答なんて酷いよ!」 「そんなラブコメ的展開は望んでいませんから!」 その後、しばらくの言い争いが続いた。 端から見れば、馬鹿丸出しだ。
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