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料理を余すことなく食べ終えた俺は、まだ料理を口に運んでいる優美を見た。
もしも俺の考え方が正しいのなら、今までのことは無駄だったのかもしれない。
「優美、これから出掛けないか?」
脈絡のない会話に、優美は小首を傾げた。
「どこに?」
「ん? ……この町で一番の名所かな」
「花畑?」
俺は頷く。
そう、この町の人なら一度は足を踏み入れるであろう花畑。
様々な花が色鮮やかに咲く場所だ。
しかし、
「な……なんで夜にいくの? 明日の朝にでも」
優美の言う通り、わざわざ夜に行く理由が見当たらない。
しかしここで引いては駄目だ。
「気分気分。花は嫌い?」
「嫌いじゃないけど……」
「それなら良いじゃないか。さ、早く食べて食べて」
「でも……っ」
何時にも増して、唇を尖らせて逃れようとする優美。
しかし俺は微笑みながら、続ける。
数十分説得した末、優美は渋々頷いた。
俺は急いで支度を済ませる。
さて、ここからどうなるか。
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