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間はあった。
例え数時間であろうとも俺は待つ。
「ほんとはね……」
優美が口を開いた。
弱々しく震えているような声で、たどたどしく言葉を紡いだ。
「ほんとは……こんなに明るくないの……。暗いし、いっつも教室で本を読んでるような大人しい子……。寂しかった。お母さんもお父さんも、私には遠慮がちに接する……寂しかった……」
今までの悩みが爆発したのか、どんどん言葉が零れおちていく。
不可解だとは思った。
要のくれた小説や要の体験談から推測するに、“悪魔”という存在は人の心の弱さにつけこんでいる。
なのに優美にはそれがなかったのだ。
でも、その不可解な理由が今わかった。
「寂しくて……寂しくて……。こんな自分を見てくれる人なんていない、そう思った。居ても居なくても変わらない……透明な“私”……」
「だから願ったの。いっそのこと、私を透明にしてくださいって」
ようやく優美の闇がわかった。
聴いたからには、ここからは俺が彼女を支えるべきだ。
「……でも、俺の知っている優美は明るくて優しくて、人の秘蔵本を捨てるような、普通の女の子だ」
「違うの! それは本当の私じゃない」
うつ向きながら、それでも力強く優美は言った。
それでも俺は俺の気持ちを伝えるまでだ。
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