‐春紫苑‐

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  「じゃあ今、俺と話しているのは誰?」 うまく優美を黙らせて、俺は続けた。 「その明るさも本当の優美だ。虚像な訳が無い。出会ってから日は短いけど、俺は優美を知っている。だから……逃げるな」 元来人を説得するのが苦手な俺には、気持ちをぶつけるしか無かった。 「でも……でも……」 「ハルジオンの花言葉を知ってる?」 何かを言おうとして詰まらせていた優美に、俺は春紫苑を目の前に差し出して問いかけた。 ……花言葉が好きだった要に、いつの日か教えてもらったものだ。 優美は小首を傾げて、目の前のハルジオンを見つめた。 「花言葉は『君を忘れない』 例え優美が俺を忘れても、俺は優美を忘れない。絶対に」 我ながら言ってて恥ずかしい台詞だ。 それを聞いたせいか、優美の頬に大粒の涙が伝わっていく。 「うぇ……ひっぐ……でもぉ……私は……っ……」 本当は明るくて笑顔の似合う少女なんだ。 俺はそれを取り戻したい。 嗚咽を漏らしている優美を見据えて、俺は微笑んだ。 「じゃあ、一緒に死のう!」 「…………え……?」
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