‐忘れるな‐

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  あれから数ヶ月、何の進歩もないままに時間は過ぎていった。 俺たち二人の関係はあまり変わっていない。むしろ変わらなくてもいい。 しかし優美が透明というのは、そろそろ進歩を期待しなければならなかった。 勉強、と言うのもあるが、忘れ去られるのはやはり辛いだろう。 「晴彦さん晴彦さん」 「んん?」 「実は明後日、私の誕生日なの」 「そうなの? よし、それなら祝おうか。何がいい? キ……」 「いらない」 あれ、目からしょっぱい汗が……。 「……じゃあ何がいいの?」 「んーとね、ケーキを作ってみたいの」 「作れるの?」 「もちろん」 確かに器材はあるし、久しぶりにケーキを食べるのも悪くは無い。 「わかった。じゃあ材料は明日買って置くよ」 「うん、ありがとう!」 優美が微笑んだのを見て、俺も笑みが溢れてきた。 後は透明という不可解な事実を、どのようにして治すかだ。 いつから俺の周りはファンタジーになったんだ。 目の前の女の子も困り果てているだろう。
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