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翌朝、俺は六時頃に目が覚めた。
明日の優美の誕生日のために、俺はケーキに必要な材料と器材を確認していた。
「まぁ……ケーキの材料が揃ってるわけないか」
器材はあるのだが、当然ながら材料が無かった。
今から買いに行くべきだろうか。
「……あれ……今日は早いね……」
振り向くと、寝間着姿の優美が眠たそうに目を擦りながら立っていた。
母親のを貸したせいか、ダボダボである。
「ん、おはよう。……優……美……」
……何だ今のは。
どうして俺は一瞬言葉を詰まらせた?
目の前の女の子の名前を思い浮かべた瞬間、頭が締め付けられるようだった。
「おはようー。あ、ケーキの用意してくれてたんだ」
器材を見た優美は、目を輝かせてそれに触れていった。
……ちょうどいい。
頭を目覚めさせるために買い物にでも行くか。
「でも材料が足りないから、今から買ってくるよ」
「私もいく?」
「いや、街や店で優美と話していると……俺変人だろ?」
互いに笑いあってから、俺はスーパーへと向かった。
しかし歩いても歩いても、違和感は全く取れない。
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