おわりのはじまり

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  あたしはいつものように駅へと歩いていた。     歩き方が変なせいで右踵だけが削れたローファーは微妙に歩き辛いけど買い直す程でもない。   iPodのイヤホンから流れてくる音楽は耳から脳を通り、いつの間にかどこかへ飛んでいく。     要はあんまり聴いてない。     「凜々ー」   「ぁ、百合」     駅前で声を掛けて来たのはあたしの親友、園原 百合[ソノハラ ユリ]。 ふわふわの栗毛に人懐っこい笑顔。おまけに天然。本人に自覚はないが、百合はかなりモテる方だと思う。     「一緒に帰ろー♪」   「沓掛は?」   「部活だって」     沓掛 修[クツカケ シュウ]は百合の彼氏であたしの友達でもある。 ちょっとボサッとしてる所はあるけどいい奴だ。   あたしはiPodをしまって、百合の小さな歩幅に合わせて歩く。     「凜々、あっちのお店寄っていい?可愛い靴見付けたんだ~♪」   「いいよ」     あたしは百合に続いて一歩前へ踏み出す。  
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