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「――……」
あ、来た。
あたしは普通の女子高生。
けど、それは周りから見ての話。
パ キ ン
乾いた、破裂音みたいな……最近、よく聞くこの音。
そして。
「……あぁ……また……」
あたしの前には駅前広場と、噴水の前で手を上げている百合以外にも見えているものがある。
それは「ヒビ」。
割れかけの硝子を通して景色を見るように、「景色」に、亀裂が入って見える。
何だか知らないが、この「ヒビ」が見えている間、あたし以外の時間は止まっている。
「……今日は何なんだろ……もう、やだ……」
あたしは溜息をついて座り込む。
……流石に最初、この「ヒビ」を見た時は混乱した。
周りは誰も動かないし有り得ない光景が目の前にあって、どうしたらいいか解らなくて――
ただ、呆然と……もう元に戻らないんじゃないかって恐怖で、泣いた。
……そしたらそのヒビはゆっくり無くなって、時間が動き出した。
――白昼夢かと思った。
けど「ヒビ」は、あたしにどうにも出来ない、無意味な時間を過ごすという悪夢を齎[もたら]し続ける。
大体ヒビは、だんだん直って時間が流れ出す。
たまに煙が出て来たりもしたし……びっくりしたのは大量にウサギが出て来た事。
その前は……何だっけ?
……あぁもうとにかくこのヒビは、たまに現れてはあたしを困らせ、時間にしたら……多分数分だけ……あたしを狂わせる。
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