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紫苑と出会った夜から数週間が経った。
当時はあれだけあのことが気になっていたのに、今となっては別にどうでもよくなってきた暁音である。
そりゃ、友達に話しても馬鹿にされ信じてもらえないという状態が続けば誰でも意識は薄れてくるだろう。
そんな彼女の携帯がある日、学校から帰ってすぐに着信を告げた。
トゥルルルル・・・・
トゥルルルル・・・・
《非通知設定》
(誰だろう・・・・?)
「もしもし・・・・?」
「あのぉ、暁音さんですか?」
「はい・・・・そうですが・・・・」
「遅れました。紫苑です」
その名前を聞いた瞬間、パァッと暁音の表情が輝いていく。
やっぱりあの夜の出来事は夢なんかじゃなかったと。
「あ、覚えてくれてたんですね!?」
「えぇ、まあ一応約束でしたから」
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