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「さ、入りますよ」
丈夫そうなドアノブに手を掛け、ゆっくりとそれを回す。
ガチャ・・・・
「紫苑です。只今帰りました」
紫苑は中に入り、入り口から奥の机へと続くレッドカーペットの上を歩いていく。
それにちょこちょこと気まずそうについていく暁音。
そして、椅子の背をこちらに向けていたその部屋の主は、クルリと椅子を紫苑達の方に回転させた。
「今日は早いのぉ。
今夜はてっきり例の娘とお泊まりパーティーかと思ったぞ」
部屋の主。この館の主の全貌が明らかになった。
淡い水色に煌めく華麗な長髪。
どこまでも透明で、何事も見抜いてしまうような二つの瞳。
そして、紫苑の腰辺りまでしかない身長。
「え゛ぇぇぇーーッッッ!!」
その容貌に思わず声を上げる暁音。
そしてその声に気付かないはずがない。
部屋の主が暁音の存在に気付く。
「おぉっ!!女子(おなご)もおったのか!!
・・・・そうか、そなたが紫苑がゆうていた暁音という者か?」
慌てて口を押さえていた暁音もその質問に答えなくて言い訳がなく、はいとただ一言答えた。
「ところで暁音よ。
お前の頭に血まみれの男がぶら下がっていて顔が良く見えんのぢゃが・・・・」
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