175人が本棚に入れています
本棚に追加
「えっ!?」
それを聞いて、慌てて部屋にあった鏡に映る自分をみる。
そこには、血まみれの男どころか妖怪の一匹も見当たらなかった。
その異変に気が付いた紫苑が口を開く。
「見つかりませんよ。だって僕にも血まみれの男なんて見えませんもん」
「え・・・・?」
紫苑なら見えていると思っていたが、それは予想に反していた。
その時、その一連の様子を黙って見ていた部屋の主が口を開く。
「そなたらには見えんぢゃろうて」
「ほいっ」という声と共に椅子から立ち上がった。
正確にいうと、自分より大きな椅子なので、「飛び降りた」になるが。
そして、顔を上げあっけらかんとこういった。
「だって私、妖怪ぢゃから」
最初のコメントを投稿しよう!