第四巻

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「えっ!?」 それを聞いて、慌てて部屋にあった鏡に映る自分をみる。 そこには、血まみれの男どころか妖怪の一匹も見当たらなかった。 その異変に気が付いた紫苑が口を開く。 「見つかりませんよ。だって僕にも血まみれの男なんて見えませんもん」 「え・・・・?」 紫苑なら見えていると思っていたが、それは予想に反していた。 その時、その一連の様子を黙って見ていた部屋の主が口を開く。 「そなたらには見えんぢゃろうて」 「ほいっ」という声と共に椅子から立ち上がった。 正確にいうと、自分より大きな椅子なので、「飛び降りた」になるが。 そして、顔を上げあっけらかんとこういった。 「だって私、妖怪ぢゃから」
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