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「妖体モード・・・・完了」
そういうと、青年はゆっくりと左手を彼女の方へ向けた。
それを見据える青年の左目は、吸い込まれた犬の真っ赤な毛並みのように紅に染まっていた。
「《妖怪払い》!!」
その瞬間、彼女の体から水蒸気のようなものがユラユラと立ち上がり始めた。
「え!?な、なにこれ!?」
そして、その気体のようなものは導かれるように、今度は青年の突き出された左手の手の平に吸い込まれていった。
同時に、一瞬女性の悲痛な叫び声が辺りに響いた気がした。
「・・・・よし。」
気体が全て吸い込まれた後、さっきと反対のように左目から犬が光の形で出てきた。
青年の目は、黒に戻っていた。
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