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「……なるほどね。……確かにおもしろそうだね!『力を隠す主人公』って感じ?でもルックスは普通だから主人公には向いてないかな~?」
「最後の方は失礼だよ、星佳ちゃん……」
とは言っても、確かに『主人公』よりは『少年A』の方が似合ってるかもしれない。
彼は赤茶色の髪を目が隠れるくらいまで伸ばしているので素顔が全く見えないが……多分普通なのだと思う。
キーンコーンカーンコーン――
とその時、チャイムが鳴った。
彼は勉強道具をしまっていて帰り支度を始める。
「名前は上神田圭……だってさ」
隣で星佳ちゃんがつぶやく。そして不意に彼がこちらを向いた。
「……?」
彼は何だか不思議そうにこちらに顔を向けていて、私は首を傾(カシ)げた。そしてしばらくすると、彼は教室から出ようとして――、
「上神田君ー!私三崎星佳!これからよろしくねー!!」
星佳ちゃんの声とともに、彼に一気に殺気が集まる。
……ご愁傷様です、上神田君。
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