第1話

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「ここに男が来なかったか?」 「いえ、来てませんが……」 名もない男子の質問に、動揺せずに答える瑠璃。 ……こういうところは似てないな、俺はすぐに顔に出ちまうし……。 「そうか。……忙しいところ失礼したな」 そう言って、そいつは出て言った。 しばらくして瑠璃が、ふぅ~、と息をつき、俺は机の下から這い出る。 「助かったよ、瑠璃」 「別にいいよ、兄さんのためだしね」 そう言って、瑠璃は天使のように微笑んだ。 ……ちなみに瑠璃にもファンクラブがあるらしいが、……今の笑顔で何人堕ちたのだろうな。 「そ、それより兄さん……」 「ん、何だ?」 瑠璃は少し恥ずかしそうにして、俺に何か言おうとしてきた。 ……ちなみに瑠璃には1つ欠点がある。それは―― 「頭、撫でて欲しいな……」 「…………まぁ、助けてもらったしな。おいで、瑠璃」 「うん!!」 ちょっとブラコンが入っていることだろう。瑠璃が嬉しそうに近づいてくる姿を見て、俺はそう思った。 ……まぁ慕われてるに越したことはないんだろうがな。
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