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「……これが昨年度の全てのテスト結果。毎回20番を取っている……」
「「「………………」」」
私達は黙らざるをえなかった。
どこからそんな情報を手に入れてるの!?とか気になったけど、あえて言わない。
「……それは……」
しばらく沈黙が続き、そしてそれを破ったのは希ちゃんだった。
「それは可能なことなんですか……?」
「……理論上は可能。ただしそれには『テストの配点』のみならず、『生徒1人1人の取れるであろう点数』も予測し、なおかつ軌道修正を可能にするために『全ての問題が解ける』必要がある……」
淡々と答える千早ちゃんに、私は確認するように尋ねた。
「それってつまり、ほとんど不可能ってこと?」
私の問いに、千早ちゃんはコクンとうなずいた。そして、だけど……、と言葉を続ける。
「……それが本当に『偶然』なのか、それとも『意図的』なのか、そこまではわからない。でも、彼にとても興味がある……」
そう言う千早ちゃんの顔は、少し笑っている気がした。
あまり感情を見せない千早ちゃんにしては珍しい態度だ。
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