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彼女を好きになった理由。それは一目惚れだったんだそうだ。
入学したて、松本達とのくだらない雑談しながらの下校中。
桜の木の下で彼女を見つけた。
誰を待っている風でもなく、ただ彼女は佇んでいた。
その姿は幻想的で…
桜と共に髪が舞う、その時、見えた表情は驚く程、綺麗だった。
「夕弥って案外、ロマンチストなんだな…」
松本は夕弥の話しに口を挟む。
「だって綺麗だったんだもん」
あれから、すれ違う度に彼女を目で追うようなっていた。
「本当に好きなんですね、谷野さんのことが…」
「うん」
好き、だと気づいたのはいつだったのか。
「でもお前、あいつと話したことあんのか?」
松本は何気なく聞いた。
「一回だけある」
「一回だけ、ですか」
雪菜は不安そうに、
「駄目じゃね、それでなくてもお前、女に免疫ないんだからよ、そんなんで告れんのか?」
松本の一言に夕弥は決意の目をして、力強く空を仰いだ。
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