好きな人

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ここで人物紹介をしよう。 まずは、 この物語の主人公になるっぽい、ラフな恰好の小柄な奴。 梁川 夕弥(ハリカワ ユウヤ) の紹介からだ。 年齢は16、高校一年生。 身長は159㎝、たまにその言動からか小学生に間違えられる。 「ねぇお見合い、まだ始まらないの?僕お腹空いたんだけど」 見た通り、自由奔放。でもどこか愛嬌が合って憎めない奴だ。 「まぁ待て、相手はあの有名進学校のお嬢様たちだぞ。多少の遅刻は許せるし、それぐらいがちょうどいいんだよ」 その意味不明な答えに夕弥はジト目になって呟いた。 「幼なじみが遅刻したときは頭にツノ出して怒るのに…」 「あれは、なぁ…由実が悪ぃんだよ、毎回遅刻しやがるから」 何でお嬢様の遅刻は許せて、幼なじみの遅刻は許せないのか、その訳を教えてもらいたい。 「羨ましい限りなのに…… ねぇ、雪菜くん」 夕弥の何気ない振りに雪菜と呼ばれた、眼鏡の少年はピクリ、と反応した。 「あ…え、えぇ、そうですね、幼なじみなんているだけで贅沢です……それと梁川くん、僕を名前で呼ばないでくれますか」 そう言って眼鏡をクイと直す。 「なんで?」 夕弥は不思議そうな顔をした。 「恥ずかしいからです。雪菜、なんて名前女の子みたいじゃないですか…」 顔を赤くしながら懇願する。 「別いいじゃねぇか、雪菜だろうが優七だろうが…」 松本はビシバシと背中を叩く。 「うん、僕もいいと思うよ、雪菜って名前カッコイイし」 夕弥も松本の言うことに賛同するが…雪菜は難しい表情で、 「とにかく優七が誰かは知りませんが、嫌なんですよ、名前で呼ばれるのは…」 そう言ってふいっと横を向く。 誰しも一つは持っている、いわゆるコンプレックスという奴なんだろう。 やれやれと顔を見合わせる二人を尻目に雪菜は再び読者に戻っていった。
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