第一楽章

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母に会いたいと思った時期もあったが、早くに離婚していたようで、僕が母に会う事はなかった。 それからは、父はピアニストとして世界を飛び回る毎日。 僕は家政婦に育てられた。 小学生になって、自分の事を自分で出来るようになってきた。 僕は父に、家政婦さんを断った。 父も最初は戸惑ったが、『いざと言う時はうちに任せてください!』と、華音が華音の両親に頼んで父に説得してくれた。 家政婦を断ったのは、父には言ってないけど理由があった。 父のいない日は、家政婦さんは、僕を、虐待した。 封じ込めていた過去。 それが緩んだ。 気持ち悪くなって、僕は慌ててトイレに走った。 後ろからは、淳もついて来た。
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