序章

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空を見上げた。 雲は一つもなくて、蒼が目に染みた。 風は穏やかで、全てを優しく包む。 僕はこの暖かな陽射しの下で、緑の匂いを思いっきり肺に入れた。 「雅也!!始業式終わったよ?」 その言葉と共に、柔らかな音楽が聞こえる。 「華音!」 よく見知った顔を見上げる。 「始業式早々サボるなんて。らしくないね?どうかした?」 笑顔の彼女に、僕は曖昧に笑った。 「行こう。」 桜が咲き乱れる裏山で、僕はこの新しい日を踏み締めた。 これから出会う、沢山の人々を想い…
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