第三子

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年配の婦人科部長の診察室に呼ばれた。   妊娠初診時はこの先生が診ると決まっているらしく、長男や次男の時もそうだった。   尿検査と内診が済み結果は…   『妊娠してるね。で、どうするの?産むの?産まないの?』   ベテランの医師は、私が言わなくてもすべてお見通しだった。   消え入るような声で、   「…産めません…」   精一杯だった。   『早い方がいいだろ。明日来れる?』   「はい」   運命の日は明日に決まった。 『子宮口を開く薬を入れるから、もう一回内診台に上がって』
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